みなみのシュミや日常徒然を好き勝手に書き込む日記ブログです☆

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夢を見る方法
今度はベルv天話~
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 夢を見る。
 知っている顔の見た事のない表情、自分に向けられる筈のない仕草。それなのに何故ここまで鮮やかに思い浮かべられるのだろう。
 腹立たしい程無邪気な笑顔、何とも無防備なほんわかとした態度など、こんなものを考えて意味がある訳もないというのに。
 意識が覚醒する。
 ゆっくりと目を開けて起き上がりながら思い出す。
「…そういえば…また依り代を換えたのだったか」
 今の自分は、つい先日まで使っていた魔女ではなく無力で憐れな皇帝。
 自分自身を見下ろすと、まだまだ少年の域を出ない姿が目に入る。
「ふん…こんな奇妙なものを夢に見るとはな。疲れているとも思えんが」
 自分があの存在を見かけたのはほんの数度のみ。
 初めは何の警戒もなく近づいてきたので撃ち倒してやった。
 その次は大事な儀式を邪魔しようとやって来た。だから排除してやろうとしたが意外としぶとく、こちらの依り代を倒されてしまった。
 だが、その時側にこの体があったのでこちらへ移ったのだった。
「…ふむ。そういえばあの時……」
 あの者は何か叫んでいたような気がする。そして自分がこの身に宿った事を告げた時に見せた表情は…。
 信じられない、といったありきたりな感情の他に何かを信じて待っているような。
 結局何か特別な事はなかったのだが、あの姿は妙に印象に残った。
「…待てよ…?確かあの時あの者はこの依り代の事を呼んでいたような…まさかな」
 思い返してみたが、どうも今一つ記憶が曖昧になっている。あの時はまだ完全に馴染んでいなかったのだから無理もないが。
 考えても埒があかない。一つかぶりを振ると手早く身支度を整えた。
「となると…顔見知りだったのかも知れんな。あの者とこの身は…」
 そう考えると思い当たる節が往々にしてある。何より、先程の夢にも説明がつく。恐らくあれはこの皇帝の記憶。何より強く焼き付いているからこそ無意識のレベルで展開したのだろう。
 この身になってからはまだした事がなかったが、改めて依り代の記憶を検索してみる。 さまざまな情報が見つかる。その中でいくつか興味深いものがあった。
 自分の邪魔をしてくる勇者とやらの一人は面識があるらしい。そしてもう一人、部下だった者も勇者としてあの者といるらしいという事がわかる。
 …そして、先程から気が向いてしまうあの者…愚かで間抜けな天使は、この依り代のもとによく顔を出していたらしい。名前も、交わした会話もよく覚えている。
「くくっ…成る程…それでか。ならばこの姿で消し去ってくれよう。それがあの者に対するせめてもの情けというものだろうしな」
 楽しげに低く笑い声が洩れる。
 だが、自分で思い付いた発想だというのに何故か思考の片隅でそれに満足できない部分がある。
「………何だ、これは…」
 釈然としない感情を外へ追い出そうと声にしてみるが、効果があるようではなかった。
 むしろ反対に、急激に脳裏に浮かんだものがある。
 それは今しがたの夢で見たようなこころからの笑顔で自分の名を呼んでいる、そんな天使の姿。
 理解した瞬間、愕然とした。今、自分は天使を消したいと思った筈。更に笑顔どころか絶望に曇った瞳、喜怒哀楽といった感情の消えた表情、糸の切れた人形のような姿を見たいと心底感じているところだったというのに。
 何故、まったく反対の考えが出たのだろうか。
「まだ完全にこの者の意識が消えた訳ではないというのか…?まさかな」
 第一、この皇帝の意識がわずかながらに残っているのならあの時邪魔をされただろう。この者本人と天使に。
 幾らか…ほんのわずかにだが、自分と相反する力があの場には働いていたから。天使本人は気付いていないだろうが、そういった力をあの者は発している。その中でまだ意識が残っていたら自分は抵抗を受けて弾き出されていた筈だ。
 しかし、そうなるとこの発想は自分自身の願望だという事になる。信じ難いが他に導き出される結論がない。
「…何だというのだ!?このような…何故あんな天使如きな者に名を呼ばれたいなどとは……」
 こんな奇妙な感情はいままでなかった。普通の生き物が想像もつかない程の長い時間を生きてきてはいるが、初めての事柄に戸惑いを隠せない。
「あんな…あんな天使に何か意味でもあるというのか?小さな力無き者の分際でこの私を混乱させるとは…ふん、見た目通りの存在では無いという訳か…ミカエルめ抜け目がないな」
 どうやらあの者は彼本人に対してなにがしかの力を持っているらしい。そう結論づけると一つ頭を振ってから動き出す。
 いつものように動いているのだが、ふとするとまた天使の姿を思い描いてしまう。今はさほどどはないが、このままではそのうち自らの行動に支障が出てしまうかも知れない。
 どうしようもない懸念に襲われるが、突然前触れなくある考えが浮かんだ。
「そうか…解らぬのなら手中に納めてしまえばいいではないか。そうすればあの者をどうしようと私の自由…天界の連中や勇者共に打撃も与えられるし、我ながらいい考えだ」
 ごく自然に笑みが浮かぶ。自分の考えに満足したのか大層機嫌がよくなる。
 まずは望む事。
 そして実現させる事。
 手段など迷う必要はない。
 夢を見るにはそれだけでいい。


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