みなみのシュミや日常徒然を好き勝手に書き込む日記ブログです☆

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星の在り処
でもってこっちは「罰則バージョン」~v
でもこっちは一応続きがあります。
1つは書いたけど、あと2話くらいあるんですよね…うん、がんばろー!
一応タイトルは全て「○○の在り処」になる予定なので「在り処シリーズ」と呼んでもらえると嬉しいかも☆

 まるで異空間のように空気そのものがねじれた場所。
 そこにいるのは複数の人影と、巨大な物体。
「…いつか…絶対……」
 傷だらけの体で、苦しげな息の中絶え絶えな言葉を紡ぐ人物がいた。
 銀色の長い髪、少女とも見まごう程の華奢な姿は今現在本来の人物ではない者としてそこにあった。
 堕天使ベルゼバブ。それが今の彼である。
 だが、その敵の存在も今や風前の灯だった。
「………」
 その言葉も、動きも止まった。真実倒れた瞬間だった。
 誰もが自分たちの勝利を確信し、満足げな表情を浮かべている。
 だが、その中で一人の少女が倒れた相手の元へと駆け寄った。
「…まだ…間に合うっ!」
「あ…おい」
 少女…天使が彼の元へ駆け寄り、自らの持つ癒しの力を目の前の少年へと注ぎ込む。
「今なら…元通りに戻ってくれるはず…!お願いっ!!」
 真剣な表情で彼女が取り戻そうとしているのは、当然ベルゼバブではなかった。堕天使はエンディミオンという少年の体を使ってここに存在していたのである。天使が『元通り』という表現を使っているのもそのためであった。
 光が包み込んだ次の瞬間、エンディミオンの顔には血の気が差し傷も消え失せていた。
 天使自身も、他の者達も彼の気配に先程までのベルゼバブのものがないか記を張りつめていたが、どうやらその心配はないとわかって緊張を解く。
「よかった…」
 そう満足そうに少女がつぶやいた。が、その後ろから厳しい声がかかる。
「地上界に最低限しか干渉してはならないという天界の掟は知っている筈だな。その者を助けるのは十分に違反しているぞ?」
 その声はこの場にいる二人の大天使のうちの一人。ミカエルが発したものだった。
 しかし。慌てる様子もなく少女がゆっくりと声のした方へと向き直りながら穏やかに、だがはっきりと言う。
「でも、助けられる人を助けないで褒められるより、助けて怒られる方がずっといいです。それに…誰よりもいなくなってほしくない人だから…」
 わずかに頬を染め、はにかむような笑顔を浮かべる天使に、もう一人の大天使がため息をつきつつ答える。
「解っててやったわけですか…では…なかった事にするのは受け入れないでしょうね」
「はい」
 まっすぐに向かい合いながら、それだけは譲れないと言葉ではなく全身で語っていた。
 そんな様子を見せられてはさすがの大天使達もこれ以上言う事はできなかった。
 殊更に厳しい表情を向け、静かな口調で促す。
「では処罰は戻ってからだな。…戻るぞ」
「…はい。ミカエル様、ラファエル様」
「待てよ…なんだよ、それ。地上を救ったっていう天使に対してそれなのかよ」
 一人話に置いて行かれつつある状況に、ルディは口を挟む。実際納得がいかなかった。彼女がどれだけ大変な目に会いながら任務をこなしていたかを知っているだけに。
 だが、相手ははっきりと言いきった。
「掟は掟だ」
 なおも食い下がろうとしたが、当の天使がそれを止めた。
「ありがとう…でも…ごめんね?」
 泣き出しそうな顔で、それでも一生懸命に笑顔を浮かべる姿を見せられてはこれ以上なにも言えない。ただ、彼女が連れられて行くのを見送るだけだった。
 しばらくそのままの状態で立ち尽くしていたが、小さな声が彼を呼んだ。
「……んん…?ルディ…?私は確か……」
 意識を取り戻したらしい少年…エンディミオンだった。
「あ………」
 何も知らず、自分を見てくるエンディミオンにどう話せば良いか戸惑ってしまう。
「…?」
 その表情に何を見たのか、少年の表情にも戸惑いと…わずかな恐れが浮かんでいた。
 お互い、その表情は一生忘れられないと思った。

 それから半年後。
 戦後の処理に追われていた日々も一段落し、侵攻以前のいくらか穏やかな日常の中一人執務室で書類の決済をしていたエンディミオンの目の前に、小さな人影が現れた。
 その存在を話に聞いていたので、特に慌てる事はなかったがそれでも意外に思えてつぶやいた。
「あれ…?妖精……?」
 目の前に現れた妖精は、ルディとはまた違った感じの赤い髪をして、肩にアルマジロを乗せていた。
「僕はあなたが嫌いです、エンディミオン様」
「え?」
 開口一番、妖精が告げた言葉にどう反応していいのかわからずどうにも間の抜けた返事をしてしまった。
 それがまた妖精の癇に障ったらしい。小さくこぼしている。
「あなたさえいなければ、天使さまはあんな事には…」
「えっ…?それって…彼女がどうかしたのかい?」
 具体的に名を出された訳ではないが、自分が知っている『天使』は一人しかいない。彼女を連想して思わず腰を浮かす。
 その驚きぶりに妖精は目を丸くして逆に問いかけてきた。
「何も知らないのですか?」
 それが何を指しているのか解らないが、どうもただ事ではないようだ。慎重に言葉を選びながら答える。
「うん…私が知っているのは地上が平和になって、任務が終わったから彼女が天界に帰った、という事くらいだから…」
「ルディ様がそう仰ったのですか?」
「うん」
「本当に何も知らされていないのですね。仕方ないのかもしれませんが」
「一体、何の事なんだい!?」
 どうにも話が見えてこない。微妙に声を荒げて聞いてしまう。
 その口調にもひるむ事なく彼は言葉を続けた。
「天使さまは…天使さまはあなたのせいで罪人になってしまったのですよ!?あの時、あの時天使さまが気付かなかったら万事丸く収まったのに」
 怒りをそのままぶつけるかのように、妖精は一気に全てを語った。
「…そんな……」
あまりにも重く、衝撃的な事実を告げられて言葉が出なかった。
「私は…助からない方が良かったんだね…」
 ようやく、小さく言葉をひねり出す。しかしそれは、どうしても自嘲的なものになってしまった。
 だが、それに同意するかと思った妖精は逆の事を言う。
「でも、それでは天使さまの気持ちを無駄にする事になります。だから僕はその感想には同意しません。したくてもさせてくれない…だから嫌いなんです」
「…それで…?」
「え?」
 少年の言葉を予想していなかったらしい妖精に、努めて落ち着いた声と仕草で問う。
「私に文句を言うためだけに来た訳じゃないんだろう?もしそうだったらもっと早くに来てた筈だからね」
「………やっぱり嫌いです」
 その言葉は真相を当てていたので、思わず恨めしそうな目を向けた。
「僕が今日来たのは…天使さまの罰が決定したから。これだけは伝えなくっちゃって思ったからです」
「一体…どうなったんだい?」
 頭の中で帝国の刑法を当たっていたが、最悪の場合を考えてしまいわずかに声が震えてしまう。
「『天使としての能力と記憶を没収の上、地上界への放逐』です」
「…え?それって…」
 思いもしなかった結果が返ってきた。
 天使の能力を没収して地上に放逐…という事は、平たく言えば地上の者つまり人間になったという事である。
 希望を感じているエンディミオンだったが、その気分を打ち消すように妖精が言う。
「でも、どこの地上へかは知らされていません。どこになったのか…」
「そんな…」
 ほんのわずかな望みを砕かれたが、拗ねたような声が耳に入ってきた。
「でも、僕知ってるんです。大天使様達も天使さまには甘いって。だから、天使さまが追放された地上は天使さまが救った二つの地上、どちらかに決まってるんです」
 知っている場所、知っている人間がいる場所。会っても記憶がなければ『他人のそら似』で済まされてしまうかもしれない。それでも、わずかでも居心地の良い場所をという心理が働いていると言った。
 妖精の言う事を信じるとしたら…。
「つまり…ここにいるのかも知れないって事なんだね」
「だからあなたに伝えに来たんです。エンディミオン様のせいで天使さまは天界にいられなくなった。少しはあなたにも罪の意識を持ってほしかったんです」
「そうか…ありがとう。…済まなかった…」
 ただひたすらに文句を連ねていたつもりだっただけに、思いもかけないお礼の言葉をかけられた妖精は不意をつかれて照れたように赤面した。
「いっ…今更謝られたって遅いんです!僕は…僕は天使さまに悲しい思いをしてほしくないだけです!!」
「………うん」
 自分と同じようにあの天使を大切に想っているのが感じ取れる。だが、譲る気持ちは更々ないので謝ったりはしなかった。
 言いたい事は全部言ったのか、妖精は帰ろうとしたが、それに気付いて声をかけて引き止める。
「あ…そうだ。君の名前は?」
 せっかく伝えてくれた相手の名前も知らないままというのはどうにもきまりが悪いものだったので聞いてみた。
「え?僕のですか…?……リンクス、です」
「リンクスか…わかった、ありがとう。」
 改めて礼を告げられても、どう反応すれば良いかわからなくなってしまったのか妖精は勢いよく体の向きを変え、そのまま姿を消して行った。
「ふんっだ!」
 その言葉が耳に入り、思わず小さく苦笑してしまう。
 ほんの少しの間だけ考えていたが、椅子から立ち上がり窓辺へ向かう。そこから見える外の風景を見つめながら真剣な表情で呟いた。
「…………と、なると…私がするべき事は一つだな…」

「さて…行こうか、レイラ」
「はい」
 ひと月後。重臣達を半ば強引に説き伏せ、なんとか一年間の時間を手にして旅に出る事にした。
 供として同行するのは女騎士のレイラ。彼女を知る『勇者』であった彼女がいるなら、探し出しやすいのではないかという事で選んでみた。
 流石に護衛の一人も連れて行かないのではどんなに自分がいない間のありとあらゆる場合を想定した施政の対処法を用意し、連絡方法も決めたとあっても反対されてしまうところである。
 幸い、人選にはさほど悩まなかったが。
 皇宮を出て、一歩一歩自らの足で地面を踏みしめる。ほんのわずかな可能性であっても少しずつでもあの天使の少女に近づいていると、そう感じていた。
「待ってて。必ず、君を見つけるから…」
 頬をなでる風と広がる青空、それらが少年の決意を見守るかのように広がっていた。



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