みなみのシュミや日常徒然を好き勝手に書き込む日記ブログです☆

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one day
いやー懐かしいなぁw
エンちゃんが思いっ切り青春しておりますです☆
 言ってはいけない言葉がある
 傷つける事がなくても 苦しめる言葉
 その言葉を告げた時
 君はどの感情を見せるのだろうか
「……夢、か…」
 窓から差し込むのは朝の光。外では鳥たちが目覚ましの歌を歌っていることが簡単に想像できるくらいの上天気だ。
 まだ少しぼんやりした頭のまま、寝台の上で上体を起こす。本格的に起きてもいいのだが、自分があまり早起きをすると周りの者達が困るだろうから大人しくしておく。
 しかしそうなると特にする事もないのでとりとめもなくいろんな事を考える。するとどうしても先程まで見ていた夢へと思考が進んでしまうのだった。
「…最悪だな」
 膝を曲げて山を作ると手を乗せ、あごを乗せる。
 側仕えの者がくるまでのわずかの時間。思い起こすにはちょうどよいくらいかも知れない。
 気がついた時、海辺にいた。寄せては返す波音、頭上で声を響かせるウミネコ、靴を通してさえ熱を伝える砂浜…自国の海でない事は一目瞭然だった。太陽や空からして違う。そう、まるで南国の海のような華やかで眩しいくらいの世界の中、波打ち際に誰かがいた。
 脱いだ靴を両手で持ち、水遊びを楽しんでいる人物は知っている人。自分が知っているのは彼女だけ。
 …ただ一人の、天使。
 無邪気そのものの笑顔で波と戯れている姿を見ていると、自然と心が落ち着く。どうしてここにいるのか等はどうでもいい些細な事だとすら思う。
「エンちゃーん、エンちゃんもこない?楽しいよっ♪」
 少女が声をかけてくる。少し離れているため、どうしても声が大きくなってしまうが仕方ない。
「私はいいよ。それよりその靴をこっちに置きなよ。手が塞がってしまっているだろう?」
「うんっ、そうだね。いっくよーっ!」
 片手で両方の靴を持つと振りかぶって投げる動作をする。軽く飛んでくるだろうそれを受け取ろうとしたのだが、ある嫌な予感がして一瞬固まった時、それはきた。
 ごっとうなりをあげてもの凄いスピードで飛んできたそれは硬直しなければそこまで動いていたであろう場所を通過した。嫌な予感のお陰で無事だったが、それを恐る恐る確認すると…自分のすぐ足下で砂にめり込み、いまだに砂煙をぶすぶすとあげているもの…今し方天使が投げた靴だった。
 暑いはずなのに冷や汗が出た。何しろ運よく避ける事ができなかったらこれの直撃をまともに受けるところだったのだから。
 しかし、それは別に悪意ではなく彼女からしてみたらちょっと力を入れただけだというのもわかっているので立腹をする事もなかった。華奢な外見に似合わず力の強い彼女なのだから。
 苦笑して靴を掘り出す。あまりにも勢いがつきすぎた事に投げた本人も驚いたらしい。不安そうに走ってきた。
「うみゅう…エンちゃん大丈夫?ごめんね」
「何ともなかったから平気だよ。気にしなくていいよ」
「うんっ、ありがとう」
 どちらからともなく砂浜に座り込む。彼女まで座るとは思っていなかったので少し驚いた。
「あれ…もういいのかい?」
「うんっ、だってエンちゃんといたいもんっ♪靴投げちゃった意味ないかもだけど」
 先ほどの勢いを思い出してかほんのわずかに表情を曇らせる。そんな仕草がまた幼げで愛らしい。
 かといってすぐに靴をはいたりせずに素足のまま水にするように砂をすくって足を跳ね上げる。
 その動きでまき散らされた砂は風にのりながら落ちてゆく。落ちつつも日射しを反射しており、まるで星のように綺麗だと思った。
 ふと気がつくと天使が自分を見つめていた。話す事がなくても、こうしていられる事を楽しく感じている。そんな表情で見つめられると、思わず自惚れてしまいそうだった。
 自分が彼女に感じている事。それはそのまま彼女が自分に感じている事であるという風に。
 あり得る筈がない。だからそう思っている事を知られては…知らせてはいけないというのに。
 だが、単調に繰り返す波の音が背中を押した。
 いつもだったら躊躇った挙げ句に諦めるのだが、今日は諦めなかった。
 緊張しながらもそっと少女の肩にかかっている髪に触れ、背中にはらう。
「エンちゃん…?」
「サウス……」
 天使の名を呼ぶ。その自分の言葉に勇気づけられたかのように今度は手だけでなく両腕をのばし、彼女を包み込むように抱き締める。
 抵抗されるのも覚悟の上だったが、意外にもそれはなくサウスの予想以上に細く小さな感触が伝わってきてどきりとする。自分とさほど変わらない背格好の少女のはずなのに。やはり男女差があったのかとも思う。
 今までずっと押さえていたものがこの一瞬に弾けた。言うまいすまいと自分に言い聞かせていた言葉が自然に口をついて出てしまった。
「………好きだよ…。君が…誰よりも、何よりも…」
 言ってしまった。
 反応が恐くて言えなかった、彼女のためにならないとわかりきっているからこそ告げる事のできなかった、今までずっとひた隠しにしていた台詞を。
 審判を待つように黙りこくる。その間とても彼女の姿を見ていられなくて目を閉じる。だが、それでも腕は緩めなかった。
 長い時間がそのまま過ぎる。いや、ほんのわずかな時間だったかも知れない。それまでお互いに身動きしていなかったのだが、天使が首をかしげるようにして彼の肩に頭を預ける。
「エンちゃん…私…私もね……エンちゃんのこと…」
「…っ」
 肩にかかる少女の頭の重みと、太陽に煌めく彼女の髪の流れが考える事を止めさせてしまった。まるで太陽を直視した時の視界のように頭の中は真っ白になり、体が勝手に動いていた。
 そっと片腕だけを離して少女の髪に触れ、頬に触れる。触れられた事で顔を上げて自分の方を向く彼女に自分の面を近付ける。
 そして、あとほんのわずかで触れる…というところで目が覚めた。
(なんて夢を見てしまったんだ、私は…)
 自己嫌悪に陥りそうだった。
「会って一緒にいるくらいの夢なら時々見ているけど」
 それだけでも充分青春ストライクである。
 だが、流石にここまで煩悩炸裂な夢は今まで見た事がなかったので朝からどっと疲れてしまった。
「こんな事…できるわけないのに」
 わかりきっている事なのにどうしてこんなに望んでしまうのだろう。天使に気持ちを伝えたいなどと。
 拒否されるに決まってる。友人としていてくれる事だけに満足しなければいけないのに。
「…何事も…諦めるのは得意な筈なのにな、私は」
 ずっとずっとそうしてきた。諦めるしかない状況ばかりという事もあったが、常に最終的には自分自身で諦めてきたのだから。
「…ふう」
 一つ溜め息をつくと、背筋を伸ばして背伸びをする。本格的に目覚めて今日一日を過ごす為に。
「夢だとわかっていたら………もう少しだけ遅くまで寝ていたかったかもな」
 カーテンを開けて青空を見上げて呟く。が、次の瞬間その言葉の意味するところ理解して内心で慌てふためく。
(も、もしそうなっていたら…夢とはいえ私は彼女にき、ききキ……)
 耳まで朱に染めていた。自然カーテンを握ったままの手に力がこもる。
 気を取り直し、目を閉じて深呼吸をしながら天使の事を思い出す。
 あの少女を知ってから毎朝行うようになった習慣。彼女が天使である事を強く実感させてくれるあの笑顔は、本人のみならず周囲の者…自分にも元気をくれるから。
 一日を過ごす活力を得る小さな儀式。…なのだが、今日はそれだけでは済まなかった。
「……………」
 へなへなと脱力してへたり込む。
「これは…当分サウスの顔を見れないな……」
 額を押さえながら呟く。思い返しただけでこれなら、実物を見た時の反応は推して知るべしである。
 実際、この後しばらくの間たまに遊びにきた天使にまともに対応する事ができず、そのために構ってくれないと彼女を拗ねさせてしまい困り果てるエンディミオンの姿が見られる事になるのだった。

終わり

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